『回転銀河5』は、ベタ甘、ほのぼの、身を切られるような切なさが描かれます。登場人物たちが星座のように連鎖し、影響してゆく恋愛オムニバス、いよいよ佳境へ。
『回転銀河5』あらすじ
わたしの一日
物語のメインキャラ・和倉が所属する地味系乙女のオアシス・手芸部。そんな地味な手芸部の地味な部長の地味な一日のお話。
悪魔に魅入られし娘
美しい容姿と悪魔のような性格で周囲を巻き込む双子、天野兄弟。そんな悪魔の双子にも「普通に」接する事のできる和倉。
マイペースで中立的な和倉の態度は、双子の兄・優のプライドを妙に刺激するらしく、ことあるごとに彼女にちょっかいをかけてくる。
しかし、プライドの高い優は決して、和倉を恋愛の対象にすることはない。
まさに和倉は「悪魔に魅入られて」しまった。けれども、もともとがマイペースな和倉は、そんな悪魔の所業さえも楽しんでしまい…。
クロニクル
こちらは海野つなみ先生のマンガ『デイジー・ラック』のキャラクターが出張。鞄職人のミチルと、弟分のタカヒロとの恋物語。

最後の日
悪魔の双子・天野兄弟に付きまとっていたウザ男・松崎君のお話。
松崎は自分と「同等」と思った天野兄弟に、足らないものとして認識され、排除されてしまった。
自意識過剰な松崎が、なぜあんなに天野兄弟に固執したのか…
モブにも悪役にも物語がある
『回転銀河』のお話は痛くて切ない。
でも甘い話と切ない話、その2つこそが『回転銀河』の真髄なのでしょう。だからずっとこのマンガに魅かれてしまうのです。
手芸部部長
部長のようなモブもちゃんとドラマあるんです。地味で目立たないけれど、部長がすごくいい子でね。がんばれ部長。そしてこれからも地味系乙女でいてください。
松崎くん
松崎君の話と聞いて「どうしてこいつ?」と思ったんですが、松崎君側の視点から見ると、すごく切ない話でした。ただ、友達になりたかった、認めてほしかっただけなんですね。
でも、方法を間違ってしまった。なにひとつ伝わらない思いは爆発して終わりをとげてしまいます。
和倉と優
なにがすごいって、恋に発展しそうな和倉の出会いを合法的に周到に、ことごとく潰してゆくんですよ。和倉さえ気づかないうちに。
そして、和倉と優はどうなるのか。
2人を面白がって観察している双子の弟・賢のように、読者であるわたしも今後の2人の展開が楽しみでしかたありません。がんばれ和倉ちゃん!
- 回転銀河1…姉と弟の恋愛、親友への恋
- 回転銀河2…嫌われてもめげないお調子者の本気と、悪魔のように美しい双子登場
- 回転銀河3…中立な視点を持つ女子・和倉と彼女に興味を持つ双子たち
- 回転銀河4…生徒に恋する教師、血の繋がらない父と娘の恋
- 回転銀河5…モブにも悪役にも物語がある
- 回転銀河6…愛も友情も主人公もモブも。回転しながら繋がってゆく
海野つなみ作品感想
- 『クロエマ』…お嬢様と貧困女子が人間関係の闇を暴く
- 『お見合い探偵 帷子ノ辻 椥』…名家のお嬢様がお見合い相手の問題を(勝手に)解決
- 『スプートニク』…他人同士のつながりや仕事、社会風刺をまじえながらコミカルに
- 『Travel journal』…編集者のたまちゃんと書店員ヒナの旅する漫画
- 『豚飼い王子と100回のキス』…童話をベースにした切なくて官能的な漫画
- 『くまえもん』…くまのぬいぐるみと社会問題を
- 『小煌女』…美しく切ない、未来のおとぎ話
- 『後宮』…古典をベースにした鎌倉時代の宮中エロス愛憎絵巻
- 『回転銀河』…今恋をしている人も、かつて恋をしていた人にも
- 『デイジー・ラック』…30歳幼なじみ四人の恋模様
- 『tsunamix(ツナミックス)』…初期短編集。リフォームとかホラーとか
- 『キスの事情』…キスにまつわる王道少女漫画
- 『彼はカリスマ』…初期の王道少女漫画
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