『回転銀河』では、主要キャラ以外の「モブ」と呼ばれる人たちにも物語があります。また、過去の海野つなみ作品からもキャラがリンクしているのも面白い。
他の海野つなみ作品読んでいると、『回転銀河』がより楽しめます。
『回転銀河4』あらすじ
悪魔の双子・賢の彼女、彬子の通っていた女学校での話や、過去作品『少年人魚』とのリンクなど、キャラクターも広がりをみせて更に面白くなっていきます。
百花繚乱
私立女子高の新任教師・中原は、沙希に蘭の花のような印象をうける。
次第に沙希のことが気になり始める中原。しかし、沙希は彬子に友人以上の気持ちを寄せていた。やがて彬子は家庭の事情で自主退学。
中原は残された沙希の孤独を埋めようとするが、沙希は彬子を思い続け…。
グレープフルーツ・マーマレード
ボーイッシュな女の子・タカは、クラスで一人浮いている少女・環が気になっていた。
友だちになりたいと思うのだが、なかなかきっかけがつかめない。
そんな中、環が天野兄弟と話すところを見たクラスの女子・北向が、タカに環との仲を取り持ってほしいと言ってきた。
実は北見の目的は天野兄弟で、タカを利用する手口に怒った環は北見に辛辣な一言を放つ。
クエーサー
姉と弟で愛し合う衿子とハル。ある時、衿子はハルとの会話を大学院生の和弥に聞かれてしまう。彼女は「誰にも言わない。私も人に言えない恋をしてるから」と、自分の恋を話してくれた。
彼女の恋人は高校時代の担任で、母の再婚相手だった。和弥は母が事故死した後、彼と二人で暮らすことを選んだ。
しかし血の繋がりはないものの、戸籍上親子となったふたりは結婚することができない。
ジレンマを抱えながらも、恋を貫こうとする和弥に、依子も決意を固め…。
他作品とのリンク
『クエーサー』は海野つなみ作品集『キスの事情』に掲載された『少年人魚』の後日譚。この頃から和弥は先生が好きだったんですね…。
こちらの前日譚を読むとより一層、物語が楽しめます。
タブーと純愛
『回転銀河』は『逃げ恥』に並ぶ名作だと、私は思っています。しかしメディアミックスがなかなかされないのは近親相姦や血の繋がらない親子の恋など、タブーな話が多いからかもしれません。
彼らの思いは純粋で、その純粋さゆえに苦しんでしまいます。いっそのこと体の関係があったほうが割り切れるくらい、恐ろしくも強い純愛で繋がれていきます。
タブー恋愛以外にもタカと環の友情物語はさわやかでいいですね。
お互い性格もスタイルも違うけれど、それだから気になっていたという。階段でジャムを分け合うふたりが微笑ましいです。
- 回転銀河1…姉と弟の恋愛、親友への恋
- 回転銀河2…嫌われてもめげないお調子者の本気と、悪魔のように美しい双子登場
- 回転銀河3…中立な視点を持つ女子・和倉と彼女に興味を持つ双子たち
- 回転銀河4…生徒に恋する教師、血の繋がらない父と娘の恋
- 回転銀河5…モブにも悪役にも物語がある
- 回転銀河6…愛も友情も主人公もモブも。回転しながら繋がってゆく
海野つなみ作品感想
- 『クロエマ』…お嬢様と貧困女子が人間関係の闇を暴く
- 『お見合い探偵 帷子ノ辻 椥』…名家のお嬢様がお見合い相手の問題を(勝手に)解決
- 『スプートニク』…他人同士のつながりや仕事、社会風刺をまじえながらコミカルに
- 『Travel journal』…編集者のたまちゃんと書店員ヒナの旅する漫画
- 『豚飼い王子と100回のキス』…童話をベースにした切なくて官能的な漫画
- 『くまえもん』…くまのぬいぐるみと社会問題を
- 『小煌女』…美しく切ない、未来のおとぎ話
- 『後宮』…古典をベースにした鎌倉時代の宮中エロス愛憎絵巻
- 『回転銀河』…今恋をしている人も、かつて恋をしていた人にも
- 『デイジー・ラック』…30歳幼なじみ四人の恋模様
- 『tsunamix(ツナミックス)』…初期短編集。リフォームとかホラーとか
- 『キスの事情』…キスにまつわる王道少女漫画
- 『彼はカリスマ』…初期の王道少女漫画

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