『逃げるは恥だが役に立つ』の海野つなみさんの次作『スプートニク』。他人同士のつながりや仕事について、社会風刺をまじえながら海野さんらしい軽快なタッチで描き出しています。

仕事や人間関係に悩んだ時に。気持ちがちょっと楽になります。
『スプートニク』あらすじ
ブライダルプランナーの浅利(あさり)は、上司の汐路(しおじ)に退職を告げた。ところが、浅利に論破された汐路までその場で結婚退職を決めてしまう。
その後、汐路の披露宴に呼ばれた浅利は汐路の弟・渡といい感じになるものの、結局恋には発展せず。
けれども仲良くなった3人は、定期的にカフェ&バー「スプートニク」に集まり仕事や家庭、恋愛などをぐだぐだと話す間柄に。やがて時は流れ日本はコロナ禍に突入。
これからの仕事と生活を見つめ直した汐路は、浅利に新しい事業を提案する。
旅をしない旅仲間
ソ連の世界初の人工衛星の名前の由来には「旅の仲間」という意味があるそうです。浅利、汐路、渡の3人もまた人生の旅の中で出会い、関わることで少しの癒やしを共有していきます。
汐路と渡は姉弟です。でも、大人になった姉弟同士で会うのは気恥ずかしいものです。そこに「赤の他人」である浅利が加わることで、程よい関係になっているんですね。
以前、「家族などの濃い繋がりでなくても、友人や仕事仲間などと関係は心のビタミンになる」というネット記事がありました。本当にその通りだと思います。
わたしも、行きつけのカフェや本屋の店員さんとの何気ない会話が一番癒やされますから。
家族や友人のように近しい関係は大事ですが、利己的になったり、依存したりとデメリットも大きいです。だから彼らのような距離感はとても憧れます。
人生は予測不能な旅
物語の後半はコロナ禍で浅利ちゃんが失職したり、汐路さんの母親が倒れたり、渡くんが失恋したりと人生の試練が押し寄せてきます。
しかし、旅の仲間たちは知恵を出し合い、協力しながら逆境を逆手に新しい事業を起こすのです。計画が具体的になっていくところは、読んでいる方もワクワクしていました。
汐路さんの仕事理念は、ちょうど私も仕事や生活に悩んでいたので刺さりましたね。
「仕事はお金持ちになることではなく、食べていけるだけの仕事を長く続けていくこと」 「仲間や家族のもしもに対応できる場をつくる」
そうなんです。今の世の中はもう予測不能なことだらけなんだから、そのつど柔軟に対応していけばいいんですよ。
『逃げるは恥だが役に立つ』でも、多様な働き方や結婚のあり方を描いた海野さんらしい物語でした。
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