江戸時代の絵師、歌川国芳一門の姿を描いた漫画『ひらひら 国芳一門浮世譚』。江戸の「粋」が伝わってくる絵とストーリーに惚れ惚れ。
こんなに濃厚に、江戸文化の香りが絵から漂ってくる漫画は、杉浦日向子さんの『百日紅』以来かもしれません。
『ひらひら 国芳一門浮世譚』あらすじ
国芳一門に加わった、伝八を通して国芳たちの生き様と、伝八の秘密が語られていきます。
武士の田坂伝八郎は、仇討ち後に入水したところを国芳に助けられ
「めェが捨てた命、この国芳が拾おう」
と、国芳一門に加わることに。
個性派揃いの国芳一門の絵師たちに囲まれ、少しずつ一門に馴染んでいくものの、伝八が討った相手の情婦が逆に伝八を襲おうと画策する。
実は敵と伝八の間には因縁があり…。
粋でいなせな国芳一門
とにかくもう、国芳師匠と一門のかっこよさといったら!揃いの法被で火事の助っ人、船を仕立ててクジラ見物などやることが豪快。
歌川一門にはイケメンで知られる歌川芳雪、おもちゃ絵を得意とする歌川芳藤、血気盛んな歌川芳虎など、個性豊かな男たちが集まっています。
国芳のパトロンの梅屋佐吉も、全身刺青姿がかっこいい。まさに江戸の男の「粋」を体現しているのが国芳一門なんですね。
仇討ちのため叔父に禁欲生活をしいられていた伝八を、みんなで「絵の修業」と称して吉原へ繰り出したり、師匠や女将さんからお小遣いをもらったり。
くだらないことでケンカをする一門は、伝八にとって初めての仲間であり、家族でもあるのでしょうね。
若い頃の国芳とパトロンの梅屋佐吉の活躍を描いた漫画『大江戸国芳よしづくし』。こちらもおすすめ。
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