『ララバイ・フォー・ガール』松崎夏未

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異世界ファンタジー八咫烏シリーズのコミカライズを手掛ける松崎夏未さんの短編集『ララバイ・フォー・ガール』

実は私、BLも百合も苦手な方なのですが、『ララバイ・フォー・ガール』は、一気に読んでしまいました。

純粋に相手を思う姿、一瞬で永遠の時間。そんな切ない少女たちの姿に胸を打たれます。キャラクターもかわいくて魅力的。

ララバイ・フォー・ガール

真面目な優等生かなとギャルのゆきな。

かなはゆきなの「120%全力で今を楽しむ」姿に憧れにも近い気持ちを抱く。ゆきなは、厳しい母に自分を押さえつけてきた自分を解き放ってくれる魅力にあふれていた。

けれども、将来を考え始めた頃、ふたりはケンカ別れをしてしまい…。

共通点のなさそうな優等生とギャルの女の子が仲良くなっていく姿、メイクをしたり、一緒にハンバーガーを食べたり。

こうした何気ない女子高生の日常は、永遠に続くようでいて、実はとても短いのです。

今夜、ヴォーグのフロアで

読者モデルのありさは彼氏もいて、自分の「かわいい」に自信があり、地味な花岡にも優越感を持っていた。

しかし、ありさの若さはあっという間に消費され、一方、同窓会で会った花岡はユニバースに選ばれるほとの美貌の持ち主になっていた。

若さと美しさにあきらめをつけるか、復讐のためにそれを追い求めるか。どちらも辛くてしんどい。

お寺の道子ちゃん

元サッカー選手の貴之は現役時代も奮わないまま引退。地元に戻ってきても家に居場所はない。

そんな時、近所のお寺の娘・道子ちゃんと再会。親との確執と将来の不安。同じく家とはうまくいっていない道子ちゃんと話すうちに…。

道子ちゃんのビジュアルがかっこいい。何物にもなれない男と、謎の幼なじみの再会シーンがエロ味があり魅力的。

EVER GREEN UTOPIA

通っている女子校が共学になることが決まり、反対デモに参加した宇津美と、デモをばっくれたゆかり。

ある時、上級生の同性愛カップルを目撃し、同性愛を「別世界の理解できないこと」と考えるゆかりに、宇津美は激しく反論する。

やがて無くなってしまう校舎、壁の落書き、消された相合い傘、友情と恋。痛くて切なくて甘くて、愛おしい。読んでいて心がきゅっとなる物語でした。

八咫烏シリーズの原作者・阿部智里先生が絶賛するのがわかります。少女たちの想いが切なくて必死で、とても美しい。

松崎先生が担当する八咫烏シリーズのコミカライズはこちら

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