『テンジュの国2』は、チベットの医師見習いの少年カン・シバと異国出身の婚約者ラティのほのぼのカップルの物語。
医食同源とチベット仏教
医療は食からという意味で「医食同源」という言葉がありますが、チベットでは医食同源に加えて仏教が密接に結びついています。
カン・シバも薬作りや治療のあいだにお経を唱えます。
「医術経典」という教えでは、助からない患者さんに死期をを伝えるのも医者の大事な役目。
死期を悟った患者は、死ぬまでに功徳を積んだりお経を唱えたりすることで来世への支度ができる。
それがチベット仏教の考え方なのです。
自分の死を受け入れるのは辛いことですが、「功徳を積む」ことは自分の来世や家族にも良いこととされる考え方は素晴らしいですね。
私もこうありたいものです。
そしてチベットの独特な葬儀「鳥葬」についても。鳥葬は死体を鳥に食べさせるため、わたしたちはグロテスクで奇異と感じてしまいます。
でも、自分の死体で他の生物が生かされるのは、人間が自然の一部であり、仏の教えにかなったことなのでしょうね。
ほのぼのカップルとチベットの暮らしあれこれ
こうしたシリアスな場面の他にも、カン・シバとラティのほのぼのカップルの様子が描かれ、これがまた愛らしいんです。
ラティはカン・シバの幼なじみにちょっと嫉妬しちゃうのがかわいらしい。
面白かったのが二日酔いの治療のお話。
チベットの結婚式では大量にお酒が振る舞われるらしく、たくさんの二日酔いの患者が医院を訪れててんてこ舞いのカン・シバ一家。
特に花嫁の父は大量にお酒を注がれるのか(あるいは飲んじゃうのか)二日酔いの症状がひどいらしいです。
また、乾燥地帯のチベットではお風呂はほとんど入らず、逆にお風呂に入ると福徳が落ちるとまで言われるほどで、夏場に水浴びをするていどだそうです。
高温多湿の日本とは全く異なる習慣なんですねえ。
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