『豚飼い王子と100回のキス』海野つなみ

豚飼い王子と100回のキス 恋愛
豚飼い王子と100回のキス

海野つなみ先生が童話『ぶた飼いの王子さま』を元に描いた『豚飼い王子と100回のキス 』。切なくて官能的な漫画です。

童話だと思って読んでみたら、意外とエロくてびっくり。

著:海野つなみ
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エロまでいかないけれど、少し刺激的な漫画が読みたい方へ

「豚飼い王子と100回のキス」あらすじ

小さな貧しい国の王子が皇帝の姫に貴重なバラの花と、大事なナイチンゲールを贈り求婚します。けれども姫は生きた贈り物を嫌い、求婚を断ってしまうのです。

原因を突き止めるため王子は宮廷の豚飼いに変装し、国の産業である精密機器を駆使して姫の気をひくのでした。

案の定、わがままな姫は豚飼いの「国中の厨房の料理の匂いがする道具」が欲しくなります。豚飼い10回のキスを要求し二人はキスをかわします。

それからまた、王子は別の道具(あらゆる音楽を奏でるガラガラ)を用意します。すると、またしても姫はそれが欲しくなります。

王子は今度は「キスを100回」と要求します。姫が拒むとさらに王子は「100回のキス」の代価として体へのキスを求め、姫は嫌がりながらも応えていきます。

王子はそんな姫の態度に愛憎と官能を抱きながらも姫を求めてしまう、そんな時「キス」の途中で皇帝に見つかり、国から追放されてしまいます。
姫は「こんなことならあの王子の求婚を受ければよかった」と嘆きますが…。

童話のその後の物語

最初のキスシーンがとても美しくて、読んでいてドキドキします。姫をいたわるように少しずつ、優しく、官能を開くように口づける王子。あんた、一体どこで覚えたんだよ…

童話の『ぶた飼いの王子さま』は、王子が正体を明かし、姫の仕打ちをなじって置き去りにするところで終わりますが、漫画ではその後の2人を描いていきます。

王子は、一旦は姫を見捨てたものの、心配になり戻ると姫はならず者たちに捉えられてしまいます。なんとか姫を助け出し、自分の城に侍女として連れ帰るのですが…。

官能だけでなく、王子と姫のお互いの心がすれ違ってしまう、そこがなんとも切ない。お互いのことを体の関係だけじゃなく愛しいと思っている二人。

でも、その伝え方がうまくいかなくて、そこがなんともじれったい。

海野先生は童話がアンハッピーエンドだったので、ハッピーエンドの(そして官能の)お話が描きたいと思ったのだそうです。たしかに、こちらのラストの方が童話的ですね。

原作の童話も読みました。漫画で描かれた「侍女のスカートに隠れてキスをする」シーンが本当にありました。童話でここまで書いていいのか…!と、驚きました。

著:ハンス・クリスチャン アンデルセン, イラスト:ドロテー ドゥンツェ, 翻訳:ウィルヘルム きくえ
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