『回転銀河3』では、これまで登場したキャラクターたちの内面が、より深く描かれていきます。
不遜な思いやタブーな恋愛の中にもキラキラと光る気持ちが隠れていて、美しくて切ない物語です。
『回転銀河3』あらすじ
後半のメインキャラ、和倉が登場。和倉は容姿や立場で相手を判断しない、中立な視点をもった女の子です。
だからこそ、「悪魔」と呼ばれる天野兄弟とも対等に話ができるのですが、それゆえに魅入られてしまいます。
他にも2巻で猛烈なアプローチを行う守口とそれを拒否し続ける恭子の間にも進展が…。
サテライト
手芸部の和倉は、美しい悪魔と言われる双子・天野兄弟に興味を持たれてしまう。天野兄弟は、その美しさ目当てに近づく人間を完膚なきまでに叩き潰す悪魔のような存在。
でも、和倉だけは彼らの置かれた立場に納得し、あくまで自然に、対等に彼らと関わろうとする。
天動説
完璧に共鳴していたはずの天野兄弟。しかし、弟・賢に彼女ができたことで、双子の均衡が崩れはじめる。
その穴を埋めるように兄・優は和倉に接近。自分を好きになるように仕向けようとするが、和倉の口からでたのは意外な言葉だった。
分岐点
前回から恭子に恋をした守口。その後は猪突猛進に「好きだ!」と繰り返しアプローチする。
その姿は恭子以外に同情を呼び、親友の須磨や、須磨ファンの後輩にまで悩み相談する始末。
怒った恭子は守口をひどく傷つけるが、彼の態度にショックを受けてしまう。恭子は仲直りをしようとするが…。
ワールズ・エンド
姉と弟でありながら思い合う衿子とハル。お互いの思いを手放すため、別の相手を見つけようとする。
しかし、大学では衿子に強引に迫る男が現れ、思わずハルは衿子を「自分のものだ」と宣言していしまい…。
回転していくそれぞれの思い
天野兄弟、恐ろしいです。気に食わない相手は、悟られないよう巧妙な手口で追い込んでいきます。
しかし、和倉は
「目立つということはリスクを背負うことだ。あれだけ冷酷なのは、彼らに必要なことなのかもしれない」
と、自分が彼らに振り回されていても、冷静にその立場を理解しようとします。そのニュートラルなものの見方は、優の手慣れたアプローチにも驚くものの、
「弟に対抗して恋にしたがってるんじゃない?」
と、優自身も自覚していなかった気持ちを、冷静に分析してみせます。
「つまり わたしたち 親友になりたいのかもしれない」
そして、すぐに自分の思いに決着をつけてしまった。これには天野兄弟も叶いませんね。
猪突猛進な守口、恭子と両思いになれてよかったです。
痴漢のため男性不審になってしまった恭子に対し、守口は不器用ながらも「俺 おまえのことすごく大事にする」と答えます。
守口はアホの子なのですが、その素直さが恭子の傷を癒やしてくれそうです。よかったねえ…。
- 回転銀河1…姉と弟の恋愛、親友への恋
- 回転銀河2…嫌われてもめげないお調子者の本気と、悪魔のように美しい双子登場
- 回転銀河3…中立な視点を持つ女子・和倉と彼女に興味を持つ双子たち
- 回転銀河4…生徒に恋する教師、血の繋がらない父と娘の恋
- 回転銀河5…モブにも悪役にも物語がある
- 回転銀河6…愛も友情も主人公もモブも。回転しながら繋がってゆく
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