『異国の花守』は『雨柳堂夢噺』の波津淋子先生が描く古都・金沢を舞台にした美しい日々と少し不思議な物語。
「異国の花守」 あらすじ
就職難で故郷金沢にもどった雛子は、久しぶりに大叔母・和香子さんのもとを訪ねる。すると、そこには金髪碧眼の男性が。
アレックスというそのイギリス人青年は日本文化を勉強するため、茶道師範の大叔母のもとへお茶を習いにきているのだという。
やがて雛子は大叔母の家に住み、行儀見習いと茶道助手をつとめるようになる。日本文化を真摯に愛するアレックスに次第に心惹かれる雛子。
アレックスのご先祖は明治時代に技師として日本で働いており、そのことが縁で日本へ来たという。
しかし、アレックスは失われつつある日本の文化に失望を感じていて…。
家を見守る椿の精
ふたりをやさしく見守る大叔母・和香子さん。そしてもうひとつの存在があります。
和香子さんの家に代々伝わる椿の木には、どうやら不思議な力があるようです。椿の精(佐保姫)は雛子の夢にあらわれては、和香子さんの急病を知らせたり、アレックスとの恋を後押ししたり。
けれど、跡継ぎのいない和香子さんが倒れたことで後継者問題が勃発。
財産に群がる親戚たちがうるさくかぎまわるようになます。そして、家と椿を守るために雛子はある決心をします。
「花守り」とは花の番人という意味ですが、歴史小説やマンガなどでは、名家が保有している価値の高い草木を大切にして次いでゆく…と、言った意味合いがあるように思います。
古都金沢の四季、茶道。骨董、着物など波津 淋子先生の描く日本文化は、ほんとうに美しくてうっとりしてしまいます。
コメント