『後宮3』海野つなみ

女流作家イメージ 人間ドラマ
女流作家イメージ

海野つなみさんが描く鎌倉時代の宮中愛憎絵巻『後宮』。今回はヤンデレストーカー、有明の月(御室)の登場です。

御所様の異母弟である有明の月(御室)は二条に一目惚れ。そして、僧でありながら強引に二条をものにするのですが…。

著:海野 つなみ
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愛憎に振り回される二条

有明の月(御室)のヤンデレっぷりがすごい。

  • そもそも、恋愛禁止の僧侶なのに、二条に恋して猛烈アプローチ
  • 大事な仏事の間に、仏間で二条を犯す
  • 好きになってくれなきゃ、お前を呪うともに地獄へ!と呪いの起請文を送りつける

現代だったら性暴行、ストーカーの犯罪者ですが、御室は腐っても天皇の息子で高位の僧侶。立場的に二条に拒む権限はないのです。

しかし、二条は良くも悪くも、情が深い人なので徐々に御室に心を許していきます。

『後宮』の時代背景

さて、『後宮』の時代は蒙古襲来という歴史的な出来事が起こった時代ですが、他にも当時の風俗や文化には今では考えられないものが多くて驚かされます。

稚児灌頂

灌頂とは仏教用語で一定の資格を授ける儀式のことをいいます。しかし、稚児灌頂とは、高僧に使える美少年たちを女性の代わりに性処理をさせる儀式です。

御室の側仕えの少年・小栗丸も稚児灌頂を受けることになるのですが、御室は、「辛いときは自分の名前を出していい」彼のことを気遣います。

…あんたなんでそういう優しさを二条にも向けないんだよ…。

粥杖

粥杖とは、正月15日の粥を煮た杖で女性の尻を叩くと、男の子が生まれるという言い伝えがあります。

御所様はあろうことか、側近にも女房らの尻を叩かせたので、彼女たちが怒って今度は御所様を寄って集って叩いたのです。

まあ、この時代の女性は圧倒的に立場が弱いですから、尻くらい叩かせてほしいものです。

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