『乙嫁語り7』のテーマは女性同士の結婚。ペルシャにあった「姉妹妻」という独特の風習について描かれています。
『乙嫁語り7』あらすじ
旅を続けるスミスがペルシャで滞在した館には、少女のような可憐な乙嫁、アニスがいた。やさしい夫と子宝にも恵まれ、何不自由ない暮らしでも心はどこか満たされない。
そんなとき使用人から「姉妹妻」を持つべきだと勧められる。
さっそく姉妹妻を探すべく、女性たちの社交場である風呂屋を訪れるアニス。そこで、印象的な女性シーリーンと出会う。
立場も環境も違うアニスとシーリーンだが、どこか通じあうものを感じて姉妹妻の契りを結ぶのだか…。
ペルシャの姉妹妻制度とは
「姉妹妻」(ハーハル・ハーンデ)と呼ばれるペルシャの女性同士の婚姻制度は、19世紀まで実在したのだそうです。
親友としての契りをむすび、普通の結婚のように式をあげたり、旅行にいったり。一緒のお墓にも入れるのだとか。
「家同士の結婚」に対し、姉妹妻はある種、恋愛結婚な役割があるような気がします。夫は選べなくとも、気のあったパートナーは選ぶことができるのですから。
とはいうものの、同性愛的なつながりではなく、あくまでもプラトニックなもの。このへんは戦前の女学生の「エス」的なつながりと似ています。
17世紀のペルシア女性の風習や文化を書き取った『ペルシア民俗誌』には、姉妹婚の詳細が載っています。
『乙嫁語り』から学ぶイスラム社会
いま、否が応でもイスラム社会に注目が集まってます。今回は、珍しい姉妹妻や一夫多妻制など、イスラムの風習について語られます。
一夫多妻制は、決してハーレム的なものではありません。夫が亡くなり困窮した女性を、裕福な男性が救済するための制度だそうです。
今回も、アニスの姉妹妻、シーリーンの夫が亡くなり困窮したとき、アニスは夫に「シーリーンを第二夫人として迎えてほしい」と頼みます。
多数の妻を持つには、いづれの妻も、すべて公平に扱うことが条件といわれています。男女平等を謳っているイスラム教らしい制度なのでしょう。
ただ、女性が自立して自ら働き、暮らせるという自由はないようです。でもそれは、異教徒の私側からの視点なのでしょうけれど。
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