『乙嫁語り6』は、激しい騎馬による闘争が描かれます。これまでのように中央アジアの生活が描かれないのがちょっと残念ではありますが、迫力のある巻でした。
婚家と実家の争いに巻き込まれた乙嫁アミルは…。

『乙嫁語り6』あらすじ
乙嫁語り2で、アミルさんの実家ハルガル一族と、婚家の町との争いがあり、一旦は諦めたかにみえたハルガル一族。
しかし、ロシアの後ろ盾をもつ部族バダンと組み、土地を奪うため再び町に侵攻してきて…。
家長のやり方に不満をもつアミルの兄・アゼルは一計を案じ、従兄弟のジョルクを通じ、アミルに逃げるよう伝える。
しかし、アミルはカルルクとともに残って戦うことを選ぶ。やがてバダンは裏切り、ハルガルごと街を攻撃しはじめ…。
躍動的な騎馬戦
馬上で弓を放ち、アゼルのスピード感あふれる戦闘シーンはまさに圧巻。
遊牧民の戦闘能力の高さがすごい。危険と隣り合わせの生活なので、こうした戦闘能力が培われていたのでしょう。
アミルさんが布に石を巻いて投げつけるのも、きっと日常的に狩りで使われていた技なんでしょうね。
女性たちの戦い
この戦闘のさなか、女性たちは奥の建物のに避難しています。
アミルさんはカルルクが自分の父親に襲われているのをみて、建物を抜けて父親に逆らい、カルルクを助けようとします。
この時代の中央アジアでは、父親(家長)の権力は絶対。娘が父親に逆らうことなど許されないのですが、アミルはそれでも夫とともに戦うことを選びました。
他の女性たちも単に避難しているだけではなく、男たちにきちんと意見します。アミルを助けた兄アゼルを、街の者がリンチしようとしたときは、「命は命をもって報いるべきだ」と。
この部分だけをみても、この世界では女性の意見が重要な場面で取り入れられていたと思われます。
少なくとも今の(一部の)イスラム社会よりは、女性の地位が高かったのではなかろうか、と思います。

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