『懐古的洋食事情1 昭和元年のライスカレー』市川 ジュン

大正

懐古的洋食事情シリーズは、市川ジュン先生の名作『陽の末裔』のスピンオフ洋食漫画。

本編の登場人物たちを主役に、明治・大正・昭和の洋食事情が描かれます。

著:市川ジュン
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昭和元年のライスカレー(昭和元年)

愛子さんは銀座ではちょっとした顔のモガ(モダンガール)。

過去を隠して見合い相手の竜平と結婚。相手の顔もほとんどわからない状態での結婚だった。

しかし、人並みに結婚はしてみたものの、花嫁修業を全くしなかった愛子さん。急きょ母親に料理を習いに行くのだが…。


最先端のモガとはいえ、当時は女性の断髪や就職は世間で見下された感じがあったのです。同潤会風のアパートが新居というのも当時の最先端でした。

コロッケに明日はない(大正6年)

高島財閥の天然お嬢様・緑に縁談が。緑は「結婚相手に会いに行く」と、当時としては大胆な行動に出た。

ところが当の婚約者は忙しく、話をする暇もなかった。そこですきな料理を訪ねたところ、彼は「コロッケ」と答えたので、その日から緑はコロッケ作り精を出すことに。


なにせお嬢様のなさることですから、ちょっとずれています。緑さん、毎日毎日コロッケを作っては婚約者に届けにいきます。

いくら好きでも、毎日コロッケは飽きると思うんですが…。
物語のラストに大正時代に流行った浅草オペラ「コロッケの唄」が印象的に使われています。

すっぷ かつれつ あいすくりん(昭和元年)

最先端ファッションに身をつつんだモガ(モダンガール)百合子さんの見合い相手・直(すなお)は、ハンサムな青年。

見合い相手は気にいったものの、相手の家は旧家で古い考えの方々ばかり。そんな中、なぜか直さんの母上に気に入られた百合子さん。

実は旧式な家の変化を望んでいたのは良妻賢母の直さんの母上の方で…。


当時は女性の権利も自由も嫁に行ったらほとんどなかったので、洋食も洋装も機会が少なかったのでしょうね。

公爵さまのオムライス(大正11年)

伊布院公爵家には若く魅力的な当主・王顕(きみあき)と、乳兄弟でしっかりもののメイド・華がいた。

華は思いを寄せる王顕のためにオムライスをつくり、屋敷を心地よく整えている。

ある日、宮家の姫と王顕との間に縁談がもちあがり、華は奥様を迎える準備をはじめるが心中おだかやではなく…


伊布院公爵夫人は『陽の末裔』で咲久子のライバルとして登場しますが、先代が駆け落ちしたから弟夫妻が家を継いだんですね。

ヨコハマ・ベイカリー・ブルース(昭和2年)

横浜の老舗のパン屋、ミナト・ベイカリーの娘、マリ子は道で行き倒れた青年・六郎を拾う。

ミナト・ベイカリーのパンに魅せられた六郎はそのままミナト・ベイカリーに雇われることになった。

あるとき配達先の船で新しい音楽・ジャズに出会った六郎はたちまちジャズに魅了される。六郎の心が離れていきそうで不安になるマリ子だったが…


六郎は卯乃と咲久子の幼なじみ。咲久子を追って都会にきたけれど、その時はもう咲久子は手の届かない存在になっていました。

市川ジュン作品感想

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