季節の素材をベースにした、登場人物たちが織りなすスープの物語、『オリオリスープ』も、はや3巻。
主人公の装幀デザイナーの織ヱは、大好きだった祖父の死をずっと引きずっていたけれど、周囲の人々のやさしさと後押しで徐々に悲しみを受け止めていきます。
織ヱと祖父の物語が落着し、もしかしたら終わってしまうのかな…。と思ったら、ありがたいことに続きが読めることになりました。
織ヱだけじゃなく、彼女の周りの同僚や、アパートの住人、友人や家族も個性的で面白い人が登場。彼らを交えたスープや汁物のエピソードが充実して面白くなってきました。
トマトとピーマンの塩ラーメン
織ヱの後輩、コマちゃんの実家から送られてくる野菜を使ったラーメン。
こまちゃんのお母さんは小さい頃体の弱かったコマちゃんを心配して少々過保護で食べるものにも厳しかったけれど、この野菜入り塩ラーメンだけはよく作ってくれた。
そこには母親の愛情があって…。料理も愛情も、時に手を緩めることも大切。
ベジブロスとイワシ
同じアパートの報道写真家・乾さんが帰ってきた。普段は紛争地帯で写真を取り、夏から秋にかけて日本に帰ってくる。人懐こい織ヱは乾さんとも仲良しで、野菜のくずでつくるベジブロスを味わいます。
しかしいつの間にか乾さんはまた危険な旅へ。織ヱは送られてきたイワシの煮込みレシピを造りながら、彼女の無事を祈ります。
たぬき汁
作家の気まぐれでビエンさんの仕事を奪うことになってしまった織ヱ。思い悩む織ヱにビエンさんがつくったのが「たぬき汁」でした。
現在のたぬき汁は、たぬきの肉の代わりに、こんにゃくを使っています。本来の素材以外でつくってもスープは美味しい。自分なりの仕事をすればいい。
不器用で口下手なビエンさんの、そんなメッセージが込められています。
気になるのは、同僚・ビエンさんとの関係。織ヱの仕事をみとどけると、ビエンさんが会社から姿を消してしまいます。2人の関係、これからどうなっていくのでしょうか…
ほかにも、アパートの隣のコワモテ少女漫画家・小遣さんが織ヱの親友ニーナちゃんに一目惚れ。果たして恋は実るのか…。
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