『烏は主を選ばない1』松崎夏未,阿部智里

狩衣 ファンタジー
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阿部智里さんのファンタジーミステリ八咫烏シリーズ第二弾『烏は主を選ばない』漫画版。前作『烏に単は似合わない』と対をなす物語。

主人公は、とある事情で日嗣の御子・若宮に仕えることになった少年・雪哉の物語です。

『烏に単は似合わない』が女たちの華麗な戦いだとしたら、こちらは男側、政治の表舞台で策謀が渦巻く世界です。

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『烏は主を選ばない1』あらすじ

人形をとる八咫烏の世界「山内」では今、世継ぎ問題で揺れていた。

地方豪族の息子・雪哉は、貴族の息子とのいざこざを収めたことで宗家の長男・長束に見込まれ、弟であり日嗣の御子である若宮の側仕えに選ばれてしまう。

しかしなにせ「ぼんくら」と呼ばれる雪哉のこと。普通なら栄誉の宮仕えもしぶしぶながら引き受けることに。

しかし、若宮はというと、理不尽な要求を突きつけたり、冷徹な態度で雪哉を翻弄する。

そんなワガママな若宮に対し、宮中では兄である長束を推す派閥が動き始め…。

絶妙なキャラクターと風景描写

雪哉と兄弟たちの愛らしさ、雪哉のときおり見せる闇属性、そして厨二病の市柳(笑)。

まるで小説から羽ばたいて抜け出してきたような、絶妙なキャラクターデザインがすばらしい。

山内世界の描写も前作の雅な桜花宮と違い、質実剛健。

現世の宮廷は広い敷地に広がりますが、八咫烏の宮廷は山の中につくられているので天井が高く、縦に長い造りになっているのも興味深い。

キャラクターでは長束の側近・路近がお気に入りです。やわやわな貴族たちの対局をいく弁慶レベルのいかつさがすごい。

そんないかつい風貌じゃ、若宮に不満があってもうかつに長束に近寄れないだろ…。しかしある意味、路近のおっかなさが長束派の採用試験なのかも。(圧迫面接だが)

あと、落女の松韻のキャラクターもいい。藤宮連のようなぱっつん髪かと思っていたら、がっつりショートで中性的。

松韻は外伝『まつばちりて』の主人公。彼女が今後どう変わっていのか描かれたらうれしいな。

スピーディーな動きの描写

『烏に単は似合わない』では、姫たちの美しく雅な姿が描かれましたが、八咫烏本来の姿については物語上あまり描かれませんでした。(なにせ姫たちは烏であるという自覚がないので)

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今回は雪哉がほんとうによく動くので、羽衣(意識でつくりだす衣)の形成や八咫烏に変化するところなど、八咫烏が住む「山内」という異界を実感することができます。

原作を読んで物語の内容は理解しているのですが、なんだかまた、新しい物語のように読んでおります。

若宮と長束派の宮廷バトルの行方や、雪哉が今後どう巻き込まれていくのか、外伝の内容は描かれるのか続きが楽しみ。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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