『烏に単は似合わない』は、大人気ファンタジーのコミカライズ。
しかし、ただの漫画化とはわけが違うのです!
なぜなら、原作者である阿部智里の監修と、漫画家・松崎夏未先生の原作への理解度と描写力の高さによって、八咫烏シリーズの世界が表現されているから。

『烏に単は似合わない1』あらすじ
人の姿をとる八咫烏が住まう山内。その貴族である東家の二の姫は別邸からほとんど外にでたことの無い世間知らず。
しかし突然、病気の姉の変わりに若宮の后選び「登殿」に参加することにった。后候補が住まう場所・桜花宮につくと、そこには南家の浜木綿、西家の真穂の薄、北家の白珠がいた。
皇后である大紫の御前からあせびと仮名をつけられた二の姫。しかしそれは、皇后が政敵である若宮を馬(下賤なもの)として、馬が酔う程度の女という意味である。
家の威信をかけた、姫たちの戦いにあせびも巻き込まれていく。
ある時、花見台の下を通りかかる若宮を見た時、あせびは幼い頃に自分が見初めた少年だと気が付き、若宮のそばにいたいと思い願うようになる。
圧巻の描写
原作の雰囲気と展開をいかしつつ、独自の表現が素晴らしい描写でした。
いままで脳内で想像していた登場人物や、桜花宮の壮麗なお屋敷、宮烏たちの美しい衣装など、実際に絵になることでわかりやすく美しく、そして恐ろしく表現されています。
キャラクターでは、四姫それぞれの個性が際立つ美しさです。あせびちゃんの純粋無垢でゆるふわな雰囲気、浜木綿の凛とした、それでいて気さくな感じ。
真穂の薄はゴージャスで、白珠はクール。一見、同じように見える垂髪でも、白珠の髪には光がない。(イベントで阿部先生が絶賛されてました)
それなのに光沢を感じさせるんですよ。ほかにも女房たちも年齢や個性によって髪質が異なっているんですよ。

そして、桜花宮の描写といったら…!建物の位置や動線など描写されていない部分まで詳細に設定されています。
すごい、ほんとにすごい…。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンブック』…読めばだいたいのことはわかる
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩だった
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい
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