『烏に単は似合わない3』では、姫たちの争いはさらに過激に。そして谷底からは死体で発見される。さらに真穂の薄の寝所に忍び寄る男の影が…。

『烏に単は似合わない3』あらすじ
早桃の死体が谷底から発見され、動揺する桜花宮の姫たち。特に早桃の主人だった藤波は激しく動揺する。
その後、早桃の死についてみな、他の家が怪しいと舌戦を繰り広げる。そしてある夜、桜花宮に侵入者が。
真赭の薄の寝所に侵入した男が藤宮連によって惨殺された。着物の盗難を巡って早桃との関連があると推測され、事件は幕引き。
しかし、その後、白珠に異変が…。
壊れてゆく白珠の描写
三巻の見所はなんといっても白珠の描写です。
心を病んだ白珠はひたすら手紙を裂いて鶴を折っています。その「さりさり」という音が画面いっぱいにひろがり、ぐにゃりと歪んだセリフのフォントに彼女の狂気が伝わってきます。
光の無い目、かと思えばひたすら可憐な表情、そしてグルグルとした目に大きく空いた口。
よくもまあ、ここまで狂気を絵で表現できるものです。凄まじくて素晴らしい。
それは、彼女が恋人の一巳と己の感情を捨てて登殿したこと。追ってきた一巳が藤宮連に殺されたことで鬱屈が一気に爆発してしまうのです。
入内は北家の悲願であり、花街から見目好い女を妻にした祖父の時代から続く因縁だったから。
このあたりのことは小説『きらをきそう』を御覧ください。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンブック』…読めばだいたいのことはわかる
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩だった
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい
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