ツイッター(X)のスペース機能を利用した『烏は主を選ばない』3巻刊行記念トークの様子。ざっくりですが内容を書き起こしてみました。
※聞き間違いとかもあるかもしれませんが、あくまで個人の感想ですのでご容赦を…。

オリジナルのシーンについて
松崎先生の配信設定がつながらず、その間に阿部先生のひとり語り。谷間のシーンは阿部先生も絶賛のオリジナル描写だったそう。
その後松崎先生も加わり、オリジナルの描写について。取材や打ち合わせのネタをもとに松崎先生が原作の行間を読み解いて詳細に描写。
『烏に単は似合わない』ではオリジナル要素を少なめにし、『烏は主を選ばない』は、第一部最終巻までの流れを見越して、他の話や外伝の要素を含めたオリジナルを増やしているとのこと。
阿部先生、松崎先生の描写についてこう語っています。
文章の上っ面でさらっているのではなく、松崎先生の中で咀嚼された解釈を再構築している
…さすが、八咫烏シリーズ最強のファン、松崎先生です。
普通のラノベコミカライズのような薄っぺらい描写とは一線を画す構成と描写は、もうこのままアニメにできますね。(その後、実際アニメ化されました)
今後もオリジナル要素は加わるらしく、『単』とのリンクで端午から七夕までの期間になにか起こるらしい…。たのしみです。
おしえて!松崎先生(阿部先生も)
事前に募集した質問に両先生が答えるコーナー。
・『追憶の烏』での心の傷は癒えたのですか?
阿部先生、松崎先生のメンタルケアに、おいしい上州牛でも差し入れてあげてください…。
・描いていて辛かった回は?
20話『偏見』ここでは雪哉が谷間の連中に「お前は上っ面しか見ていない」と言われるシーンです。ここを描くために大プロットでしっかり作り上げて、枝葉をつけていくそうです。
松崎先生の作画方法について
・作画はアナログで描いてらしゃいますか?
人物やメインの線はアナログ、背景などはデジタルで描いており、それらをなじませるのが大変。修正は紙の上でできる限りやり、デジタル上でも修正。
血しぶきはアナログで墨を吹きつけていきます。Gペンでふっと。失敗すると顔にかかるとか。
しかし、この血しぶき描写とか、谷間のグロテスクな描写とか、作者が鬼悪魔なら漫画家も相当…いや、いいコンビですよね♪
達筆と筆使いは、幼い頃からの書道教室での経験から。コマ上の家系図なども松崎先生の手書き。
最近は各キャラの髪の描写が好きで、長束の髪は固め、奈月彦はサラサラ系。敦房の髪は椿油をつけたオイリーな感じ。ハイライトの付け方を変えています。
白珠の髪にハイライトを入れていないのは阿部先生のお気に入り。

カナコロガシの盆にもこだわりがあり、2人で話し合い、アシスタントさんの描写力で漆の質感が出来上がりました。
その他の質問
・谷間の登場人物について
雪哉に傘をあげたのは、『あきのあやぎぬ』に登場した西本家の顕彦さんで確定。谷間オリジナルの根幹をなす「多様な視点」を雪哉に示すのに最適な人物だからだそう。
・くれ葉さんと谷間の遊女
2パターンのデザインがツイッターにあがっていますが、両方とも素晴らしい。最初は指がない設定もあったとか(遊女は客に誠を示すために指を送った習慣から)
・花街と谷間の遊女の違いについて
次の短編『きらをきそう』に詳しく書かれている。
山内の世界観は身分が下へいくほど時代が下がる設定なので、最下層の谷間の遊女は江戸風になるのだとか。
貴族→平安
郷長→鎌倉
平民→鎌倉~室町
・雪哉の誕生祝いは受け取れた?
松崎先生「26話のあとくらいにたぶん。」
阿部先生「お祝いを売り飛ばすほど若宮も外道ではないと思うので」
・市柳パイセンコーデについて
毎回楽しみな市柳パイセンのおしゃれ(ヤンキー)コーデは、自分でハギレを買ってチクチク縫うそう。だから結構手先が器用らしい。
山内にはファッション雑誌や浮世絵的なものがあるので、詳しくは次回の短編『きらをきそう』で。
・おまけSS『ブラックアルバイター雪哉』
初版の紙単行本についているおまけSSとイラスト。大人気で質問多数。
『ブラックアルバイター雪哉』は出版希望があるものの、作者は消極的。ふだん本編で苦しんでいる分、一時間くらいで書けちゃうらしい。
松崎先生「なにかにまとめてほしい」
阿部先生「集団幻覚ってことにしたい」
コンプライアンス的に問題があるため(?)人間界で路近描くのは無理なため、巨大犬「ろこたん」に変換。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
烏に単は似合わない
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
烏は主を選ばない
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンブック』…読めばだいたいのことはわかる
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩だった
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい
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