意外な裏切リ者と協力者が判明する『烏は主を選ばない5』。いよいよ物語も佳境へ。そして雪哉の「正体」についても明らかに。

『烏は主を選ばない5』あらすじ
七夕の日。若宮は桜花宮へ向かうと見せかけ、ギリギリまで南家との交渉を続け、なんとか会談の約束をこじつける。
南家当主との会談を終え、黒幕は大紫御前だと目星をつける若宮たち。そんな時、味方である敦房が襲われたと連絡が入る。
急ぎ事件のおきた谷間へ向かう若宮と雪哉。
しかし、そこにいたのは…。
伏線の回収
今回も松崎先生の絵力が本当にすごい。ちょっとした視線やセリフに伏線が貼られていて、結末につながっていくし、一コマ一コマの迫力たるや…。
私は原作を読んでいて、結末を知っているのにもかかわらず「これからどうなるんだろう?」と思ってしまいます、
逆に結末を踏まえて読んでも「この描写がこうつながるのか…」と発見もあり、何度も楽しめます。
ここからネタバレ
今回、味方であったはずの敦房の「闇」を表現したあの黒目描写。まさに「息を呑む」という言葉がぴったりでした。
黒目に一切光がないのがすべてを表している。
その後、雪哉の機転で敵対していた長束に助けを求め、間一髪で若宮たちを救出。
実は長束はちゃんと前のセリフで言っているんですね。「私自身は若宮の敵ではない」と。あとのセリフのやりとりで真逆の意味にされていますが。
そして、あ~、長束さま、そういうところですよ!あなたが直さなきゃならないのは…!
出自にコンプレックス(雪哉場合は身分が高いことに対して)を抱えている雪哉に、それは一番言っちゃならない言葉なのに。
だから今後『黄金の烏』で追い詰められたり、第二部『烏の緑羽』で叱られたりするんですよ…。
さて、黒幕もわかったところで次回が最終巻かな?次巻では雪哉の出自や大紫の御前と敦房の関係などが明かされていくのでしょうね。
個人的には雪哉側の視点から桜花宮の殺人事件を見てみたいです。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
烏に単は似合わない
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
烏は主を選ばない
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンブック』…読めばだいたいのことはわかる
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩だった
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい
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