『烏は主を選ばない6』がいよいよ最終巻。雪哉の「正体」が明らかになる。第一巻、冒頭の伏線回収も。
そして、雪哉の母たちの物語、外伝『ふゆきにおもう』も収録。
『烏は主を選ばない6』あらすじ
刺客による奈月彦襲撃事件も終結。長束は雪哉を弟の陣営に引き入れようとして、彼の何より嫌いな「血統」を持ち出してしまう。
奈月彦は仕えるに値する主だが、あくまで「金烏」にこだわる奈月彦に見切りをつけ、雪哉は中央を去ることに。
20数年後、博陸侯となった雪哉の自伝に不審な点がみつかり…。
伏線回収(ややネタバレ)
ここで一巻冒頭、「滅びゆく山内」と書かれた文章の伏線がここで回収されます。それはてっきり、雪哉が人生を振り返って書いたのかと思っていたら、実は…。
雪哉が宮中を去ってから、後の数ページが黒一色なんです。
「何が起こったのか…?」と思い読み進めると、そこで真相が明らかになる。まるで映画のような表現に度肝を抜かれました。
改めて松崎先生の表現力のするどさを思い知らされましたよ。
澄尾と真穂の薄が初めて出会う場面も!後に夫婦となる二人ですが、初対面でお互いの目線が合った時、燭台の炎がボッと大きくなる。これも今後の二人を象徴する場面です。
このあたりは八咫烏シリーズ第二部の内容を含んでの構成なので、ぜひ、原作をお読みください。
『ふゆきにおもう』(ネタバレあり)
コミカライズ『ふゆきにおもう』では、原作からさらに解釈を深めて、梓と冬木の関係と家族について描かれています。
幼い頃、雪哉と弟の雪雉が行方不明になる。母親の梓は二人を探しながら、雪哉の本当の母親・冬木について思いを巡らせる。という物語。
女童時代の梓がとてもかわいい。そりゃ、冬木でなくても側に置きたくなりますね。おまけに賢いし。
冬木は周囲からは扱いづらいと思われているけれど、とてもかしこく、一度心を許したものには情が深い女性として描かれています。
梓はそんな冬木に強い憧れと親愛を抱いていたんですね。
冬木を評価しない者には「姫さまの良さがわからないなんて」と思う反面、「理解できるのは私だけ」と思っている。
二人がお互いの髪をとかし合うシーンが微笑ましい。
冬木もね、雪正のこととなると、アタフタしたり柔らかく笑ったりして可愛いんですよ。
しかし、雪正と冬木の婚姻、そこから家の事情で梓が側室になったことで、二人の関係が修復不可能に。二人ともお互いを思い合っているのに辛い…。
でもきっと、冬木には全てわかっていたのでしょうね。だから雪哉を梓に託した。
そして、行方不明だった雪哉たちが帰還。弟を守って冷静だった雪哉が大泣きするシーン、今後の人生を思うと切ないなあ。
『亡霊の烏』で大事な者を亡くした雪哉。子ども頃のように泣くことができるといいのだけど。できるとしたらそれは、紫苑の宮だけだと思う。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
烏に単は似合わない
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
烏は主を選ばない
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
- 『烏は主を選ばない6』…事件の終結と1巻の伏線回収。雪哉の母たちのお話も
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンブック』…読めばだいたいのことはわかる
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩だった
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい

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