外伝『エマ』(8~10巻)森薫

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『エマ』の外伝的エピソードが掲載された8~10巻の感想です。

19世紀のイギリスを舞台にメイドと紳士階級の身分を超えた恋を描いた『エマ』。作者森薫さんの細部までこだわった時代考証と、美しく細密なタッチで描かれた名作です。

『エマ』本編のあらすじ

ウィリアムは引退した家庭教師ケリーを訪ねた際にケリーのメイド、エマに恋をする。

二人は心を通わせるが、ウィリアムは上流階級の出身のため、二人の恋には障害がつきまとう。


本編の方は「これでもか!」というくらい二人に困難が襲いかかります。エマたちの理解者だったケリーは死んでしまうし、ウィリアムは仲を反対された勢いで別の女性と婚約しちまうし。

挙句の果てにエマはウィリアムの婚約者の家から疎まれて、人さらい(!)にあってしまうなど、読んでいてもハラハラしっぱなしです。

一方、外伝の方は「エマ」の登場人物たちが主人公となった短編・中編を集めたもので、こちらはほのぼの系のお話が中心なので安心。

以下、各巻でお気に入りのお話の感想など。

8巻

エマの主人・ケリーの新婚時代のお話「夢のクリスタル・パレス」。

当時開催されていた万博の水晶宮(クリスタル・パレス)に行くために、お互いに内緒でお金を貯め合うお話です。なんだかО・ヘンリの『賢者のおくりもの』のようでした。

エマと同室だったドジっ娘メイド・ターシャが里帰りをする話『家族と』。

イギリスの庶民の暮らしぶりや大家族の仲の良い様子が伝わってきます。読んでいて『秘密の花園』のディコン一家を思い出しました。

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9巻


エマの第二の勤め先だったメルダーズ家のメイドたちのお話。お休みを利用して買い物にいく「ふたりでお買い物」。

ウィンドウショッピングが始まった頃、いろいろな店にいって買い物する姿は現代の女性とおんなじですね。この頃のお店で買い物してみたくなります。

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10巻

いよいよ大団円。エマとウィリアムの結婚式が執り行なわれる『新しい時代』。これまでの登場人物たちが集まり、盛大に結婚式が執り行われます。

本編のラストから数年経っているようで、登場人物たちが少し成長しています。(4~5年後くらいかな?)

森さんの描写力がすばらしいです。人物たちの数年後の描きわけがちゃんと表現されていて、実際に年を重ねた感じがします。

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森薫作品感想

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