マツオヒロミさんの描く『マガジンロンド』は美しい架空のファッション誌です。創刊100年を迎えるファッション誌『RONDO』の軌跡を漫画とイラスト、グラフィックで紹介しています。
美しいイラスト、時代を彩るファッション、RONDOを愛する少女たちの漫画…。すべてが洗練されていて美しくて、何度読んでも飽きることがありません。
時代別のデザインがすごい!
架空のファッション誌『RONDO』では、大正、昭和、平成、令和の時代ごとにデザインの描き分けられています。そのクオリティは本当にこんな雑誌があったんじゃないかと錯覚するほど。
1922年 創刊
カフェで働く3人の女性が『輪舞曲』に出会い、自分なりの洋装を工夫する物語。この時代、まだ洋服は高価で珍しいため、女性たちはエプロンにレースをつけておしゃれを楽しみます。
雑誌の特集はパラソル。大正ロマンを感じるおしゃれ小物に、エレガントな化粧品の広告。本当にため息のでる美しさです。
こんな美しいパッケージの化粧品なら思わず買ってしまいます。
1957年 輪舞曲からRONDOへ
この年、雑誌名が『輪舞曲(ロンド)』から『RONDO』へ。ふわっと広がるスカートに大きなリボン。女の子の夢が詰まったグラビアです。
漫画パートでは『RONDO』のモデル・リコの視点から新しい魅力的な『RONDO』の制作現場が描かれます。
1995年
田舎に住む女子高生ふたりが『RONDO』がきっかけで仲良くなるお話。この頃のデザインは細長いフォントとビビットな色合いが特徴です。
2022年
『RONDO』が大好きだった二人の女子高生は、古書店オーナーとスタイリストとして活躍しています。
創刊100周年を迎えた『RONDO』は、時代ごとの憧れやときめきを伝えながら、新しい時代につながっていくのでした。
2024年に弥生美術館で開催されたマツオヒロミ展の様子。マガジンロンドが年代別に展示されているほか、雑誌に登場したバッグまで!再現率がエグい。
架空なのにリアリティを持つ、詳細なグラフィック
グラビアページだけでなく、雑誌広告も時代を反映して作られています。このこだわりがすごい…!
50年代から60年代の、インクの滲んだ文、長体(縦長)で字間の開いたフォント。
これ、本当に架空の雑誌なの…?と疑いたくなるほどのクオリティ。マツオヒロミさんは当時の資料を丹念に研究して制作されたのだそうです。
私が好きなのは57年のデザイン。中原淳一の『それいゆ』や『ひまわり』のデザインを参考にされたデザインは、当時の「かわいい」が詰まっています。
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