『日本人なら知っておきたい日本文学』蛇蔵 海野 凪子

平安時代イメージ 平安
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日本人なら知っておきたい日本文学』は、ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典漫画です。

作者は『日本人の知らない日本語』の日本語教師・凪子さんと、マンガ家の蛇蔵さん。楽しく歴史や古典が学べるし、偉人の意外なエピソード満載で面白いのです。

人間味あふれる偉人たち

枕草子、源氏物語、徒然草、古事記など「学校で習ったけれど、いまイチ詳しい内容がわからない…」といった日本文学を現代語風に翻訳。

そして、現代人にもわかりやすく親しみやすい漫画にアレンジしています。

吉田兼好と徒然草

まず、本名が吉田じゃなくて卜部というのに驚きました。吉田神社の近くに住んでいたからこの名前になったのだとか。

兼好は優秀な官僚だったのに突然やめて出家、悠々自適な暮らしをはじめます。

そんな彼の人生訓を描いた『徒然草』は大ヒット。古典は難しそう…と思ったら、中身は現代の私達にも共感するものばかり。

  • 木登りは登るときより、降りる直前が危ないから気をつけろ
  • 知識をひけらかすと嫉妬の対象になるのでやめること

その他にも4コマ漫画的なエピソードが満載で、『徒然草』を読んでみたくなりました。

紫式部や道長、偉人の面白エピソード

また、物語だけではなく、随筆や日記などから偉人たちの面白エピソードも漫画にしています。

  • 清少納言…センスのよいエッセイスト、自分を考えを貫くキャリアウーマンタイプ
  • 紫式部…内向的で悩み多き小説家タイプ。ストレスを文学に昇華
  • 菅原孝標の娘…源氏物語に夢中になりすぎて、全巻がほしくて仏像彫って願掛け。玉の輿より二次元世界が好き

大河ドラマの紫式部は行動的に描かれていますが、実際の式部は陰キャで目立つことが嫌いで「漢字の一も読めないように振る舞おう」と日記に書いちゃうほど。

菅原孝標の娘は現代でいうと夢女子(キャラとの恋愛を妄想する女子)で、夢の中で僧侶に怒られたり、自分の『更級日記』で過去の自分にツッコミを入れたりしていて、とてもかわいい女性です。

藤原道長の調子に乗ってる和歌


藤原道長が詠んだ「この世おば我が世とぞ思う望月の欠けたることもなしとおもえば」という、かなり調子こいた歌も取り上げています。

これは酔っていい気になった道長がいきおいで詠んじゃったのだそう。(公式の歌ではない)それを道長の部下に顛末を書かれてしまったせいなんだとか。

人間、いい気になるとどっか落とし穴があるもんですね…。

まとめ

こうやって現代版で古典を読んでみると、昔も今も人間のやることなんて変わってないんだな、と実感させられます。

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