大正時代、普通の人々の食と暮らしを描いた『こうふく画報』。美味しい大福、洋食のオムレツやお弁当まで、和と洋合のレトロな料理が登場します。
絵も美しいし、人物や料理風景を丁寧に描いているので、何度読んでも楽しい漫画です。
短編として読んでも面白いですが、登場人物がリンクしているので、「あの人とこの料理がこうつながって…」と、伏線を楽しむこともできます。
大正時代の料理
大正時代、殆どの家はまだ火鉢やかまどで調理をしています。お赤飯を炊いたり、秋刀魚を焼いたりするのも、ずっと火を見てる必要があるんです。
大変そうなのですが現在よりも時間がゆったりとしているせいか、料理する女性たちはどこか楽しんで作っているように見えます。
大正時代は洋食がまだそれほど一般的ではありません。それでもオムレツやコロッケなどは庶民にも食べられていたようです。
漫画の中にも当時流行った『コロッケの歌』を口ずさむ新婚の妻を見て、旦那様がコロッケを買ってきてくれるシーンが出てきます。
人々は雑誌に掲載されたレシピを試行錯誤して洋食を作りました。しかし、なかにはトンデモない洋食もあって…。
トンデモ洋食
洋食に目覚めた母親が作るサンドイッチは、マヨネーズにコーンフラワー入のチョコプリン。これがとてつもなく不味い。けれど、息子の進はそれを言い出せずにいます。
このころの洋食のレシピは分量も材料も適当だったため、こうした「トンデモ洋食」ができたのだそうです。
それにしてもお母さん、ちゃんと味見してから作って欲しいものです。
『温故知新で食べてみた』という本によると、洋食に慣れていない当時は「干物のポテサラ詰め」など、今ではありえない珍品レシピがあったんですって。
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