『百日紅』杉浦日向子

浮世絵 アート・芸術
浮世絵

『百日紅』は葛飾北斎とその娘・お栄の日常と不可思議な現象を描いた漫画。江戸の風俗描写が緻密で、筆使いも粋です。

2016年にアニメ映画化

著:杉浦日向子
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『百日紅』あらすじ

葛飾北斎と娘のお栄。二人は「筆二本、箸四本ありゃ暮らしていける」と、画業以外にとんちゃくしない生き方を貫いている。

そんな北斎の元へは居候の善次郎(渓斎英泉)や歌川国直などが出入りしていた。日常と非日常、空想と現実が交錯する浮世で、北斎父娘は今日も筆をとる。

女絵師・葛飾応為

『百日紅』では、嫁に行く前のお栄と北斎の暮らしが描かれています。

当時から「女の絵は俺でも叶わねえ」と北斎に言わしめた才能を持っていました、しかし、年増と言われる年齢となっても、まだ生娘で兄弟子に淡い恋心を抱いています。

また、お栄(応為)の絵を表すエピソードとして、描いた美女に恋をした男が絵の中に入り込んだり、地獄の屏風を描くと、その家の奥方が悪夢にうなされたり。

いや、すさまじい力量です。

葛飾応為のその後の人生は謎に満ちていて、北斎の死後、その行方はよくわかっていません。

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北斎親子の仲間たち

ふだんはむさ苦しい北斎ですが、才能豊かな面々に囲まれています。山東京伝と雪見鍋をしたり、渓斎英泉が居候をしたり。

歌川豊国は流派にとらわれず北斎から学び、その傍らにはまだ幼い歌川国芳がいました。

また、歌麿とも交流があったようで、歌麿の死後、彼の最後の女を看取るエピソードも。

江戸の日常

両国の見世物小屋に吉原遊廓、お栄は火事見物が趣味で火事と見るとすっ飛んでいく。夏は蚊遣を焚いてスイカを喰い、秋は書き損じ紙で焼き芋。

北斎親子と善次郎(渓斎英泉)の画業の合間に描かれる江戸の日常風景に引き込まれていきます。しかし善次郎、女との場面多いな。

上野の出会い茶屋での逢引も、江戸の男女の日常だったのでしょう。そして、お栄がヤケになって訪れた陰間茶屋なんてのも。色子と呼ばれる少年たちが春を売る場所です。

客は男女問わなかったけれど、やはり客には坊さんが多かったらしい。

江戸の非日常

動き出す死体、首が伸びる花魁。北斎とお栄の住む江戸には、こうした不可思議なことが普通に起こります。

妖怪の獺が絵を買いに来たり、怪しげな術を使う仙女(ばあさん)が現れたり。人並み外れた北斎親子のことだから、不思議なことが起きてもあまり気にしないんですね。

日常と非日常が交錯する江戸。ちょっと覗いて見たいような気も…。

浮世絵漫画

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