イスラム女子と日本女子『サトコとナダ』ユペチカ

アメリカ

サトコとナダ』は、サウジアラビアと日本の女の子が、ルームシェアするお話。ルームシェアを通じてお互いの宗教や文化を理解していきます。

著:ユペチカ, 読み手:西森マリー
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『サトコとナダ』あらすじ

アメリカの大学に留学したサトコ。初めてのルームシェアにワクワクしてアパートへ。しかし、そこには黒いムスリム衣装(ニカブ)に身を包んだサウジアラビア出身のナダが待っていた。

最初は驚いたものの、文化や宗教の違いを乗り越え、仲良く暮らしていく二人。

しかし、信仰心の薄い日本から来たサトコには、ナダの生活や習慣は、驚くことだらけで…。

『エイリアン通り』以来の異文化交流漫画

私の中東への最初のイメージは、成田美奈子先生の名作漫画『エイリアン通り』でした。

中東出身の主人公(でも外見は欧米人)・シャールくんと仲間たちが繰り広げる友情と冒険のアメリカンライフです。

著:成田美名子
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この『エイリアン通り』で、私は初めて中東の暮らしに触れ、あこがれをいだいたものでした。

しかし、その後の中東は紛争やテロが頻発。略奪や人身売買などのニュースを見るたび嫌悪感が募っていきました。

他にも、イスラム社会は一夫多妻や、女性の権利の制限されている男尊女卑のイメージがあります。

日本ではあまり情報が伝わらない中東のイスラム教の人々の暮らし、特に若い女性はどんな生活をしているのか…?

サトコとナダ 1』は、そんな「普通の」ムスリム女の子と、日本人の女の子の日常を描いた漫画です。

私はこれは『エイリアン通り』以来の、新しい中東への扉をひらいてくれた漫画だと思うのです。

多様性ということ

ニカブの下はゴージャスなドレス、誕生日は祝わない。ハラル食や断食など、日本人にはなじみがないムスリム女子の生活。

けれど、きゅうくつなことばかりでもなく、寝坊したら下がパジャマでもニカブを着ちゃえば外出できるし、メイクも目だけでOK。

サトコはナダに出会うことで、日本ともアメリカとも違う、新しいものの見方をナダから教わります。

ナダは、なぜムスリム文化を知りたいのかサトコにたずねると、サトコは「ナダ、あなたのことを知りたいの」と答えます。

多様性って、サトコやナダのような、個人間の信頼こそが大事なんじゃないかな。

また、ムスリム女性の礼拝所を訪ねたサトコはニカブを着ていない女性がいることに気が付きます。

それについてナダは「自分と違う恰好や暮らし方をしているひとを、蔑視したりなかまはずれにしてはいけないのよ。」といいます。

ナダのようなムスリムばかりなら、きっともっと世界は多様性を認め合って、幸せになれるのにねえ…。

サウジアラビアの女性

日本であまり知られていないサウジアラビア。イスラム教の国の中でも特に厳しく、女性の権利は著しく制限されています。

  • 女性は運転免許をとれない(国外は別)
  • 家族の男性が一緒でないと旅行ができない
  • 家族や同姓の友達といるとき以外はニカブなどの被り物をしなければならない
  • 恋愛禁止、結婚相手は親が決める
  • 女性は女医にしかかかれない。女医の数が少ないので死亡率が高い

とまあ、女性差別、人権無視!と叫びたくなるような項目だらけです。

けれども、当事者のナダは周りから不自由や不幸のレッテルをはられて同情されても、自分の国の文化に誇りをもっています。

  • 姿を隠すニカブは、女性の容姿で判断される社会から守る鎧
  • 女性がモスクに行かないのは、子育てや家事で忙しいための救済制度

ナダの自国の文化に誇りをもつ姿はとてもかっこいいとです。ただ、やはりもう少し、改善されてもいいのでは?と私は感じてしまうのです。子育ても男も手伝えよって思いますし。

いろいろと問題の多い世界ではありますが、サトコとナダのようにお互いを尊重しあえたらいいですね。

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